1.二千年を超える漢方の歴史
日本漢方の歴史
2.煎じ薬とエキスの違い
本来、漢方薬は煎じ薬、散薬、丸剤、座薬だけでエキス剤は戦後に作られたもの。
1976年「医療用漢方製剤」としてエキス製剤が健康保険の適用となる。
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煎じ薬 |
エキス剤 |
飲み方 |
乾燥し刻んだ生薬を組み合わせたものを水に入れ土瓶で煎じる。漉した煎じ汁を日に数回分けて飲む。古来続いている方法。生薬の保存、煎じるのに手間がかかる。 |
顆粒状あるいは粉状で飲みやすい。持ち運び簡便。お湯に溶いて飲む。溶かずに白湯で飲んでも良い。 |
処方 |
個々の患者さんの病状や体質に合わせて、数種類〜十数種類の生薬(植物性・鉱物性・動物性)を選び分量を加減して作るオリジナル処方。テーラーメイドの漢方。生薬の保存、調合に技術と手間がかかる。 |
生薬を一定の割合でブレンドし
たもの。歴史的に有名な処方を選んでいる。
患者さんの微妙な体質や症状の違いへの対応が十分とはいえない事もある。 |
コーヒーに
例えると |
レギュラーコーヒー
揮発性成分の効果も期待できる。 |
インスタントコーヒー
生薬を煎じてフリーズドライ
揮発性成分がとんでしまう。 |
金額 |
保険が効くものと自費で高価なものがある |
健保適用で比較的安価 |
3.未病にきく漢方
上薬・・無毒。副作用がなく、長く飲める。(薬用人参、オウギなど)薬膳にも。
中薬・・少量短時間であれば、副作用はなく病気を治す効果が期待できる。(サイコ、マオウなど)
下薬・・治す力は強いが、副作用に注意。(ダイオウ、ブシなど)
西洋医学は下薬に近い。短時間で症状を抑える。一番悪い時に飲むと効果的だが、養生のためには適さない。
漢方は、病名、診断名で処方はできない。その人を診察して体質やエネルギー状態に基づいて処方しないと間違いが多くなる。
◎漢方診療の特徴
医師が五感を使い患者さんの病状を観察。症状が現れた時期、経過の確認。
脈診・・三箇所脈・右手は肺、脾、腎。左手は心、肝、腎。
漢方の脾と西洋医学でいう脾臓は別で胃腸・消化器全般を意味する。
腎は腎臓ではなく、泌尿生殖器全体と人体のバッテリーを指す。
舌診・・胃腸と関係が強い。舌下静脈は血流と関連
体質、年齢、性別によっても処方が変わる。
「気」という考え方は漢方独特。体の中には気というエネルギーが流れている。
補気薬(気を補う)・・人参 炙甘草 黄耆 白朮
健脾薬(胃腸・消化器を健やかにする)・・山薬(山の芋) 大棗(なつめ) 硬米(玄米) 膠飴(麦芽糖の飴) 蓮子(ハスの実) 伏苓(さるのこしかけ・きのこ)蒼朮(おけら) ヨクイニン
これらの薬味は薬膳に好んで用いられる。
<妊娠・出産>
産前産後 漢方では得意
月経痛、冷えなど
当帰芍薬散・・柳腰の色白美人にきく?
温桂湯・・肌がきれいになる。無月経、月経不順、不妊に効果あり
きゅう帰調血飲・・産後ノイローゼ、産後のおっぱいに 月経前症候群 不妊
きゅう帰膠艾湯・・月経過多、不正出血、切迫流産
妊娠中でも飲める漢方薬がある。胎児を護る 当帰芍薬散 便秘 麻子仁丸 風邪 参蘇飲
<更年期>
気血水 気虚・血虚・腎虚へ配慮
冷えのぼせ、肩こり、頭痛、関節痛、息がつまる、尿失禁、骨粗しょう症、コレステロール上昇など
女神散、加味逍遥散、きゅう帰調血飲 腎を強くする
更年期・熟年期を美しく
女性性を抱きながら、いきいきくらし、働くことが願い
2000〜1500年前の中国の本に女性が歳をとる姿の記述がある。
7歳 歯が生え変わり
14歳 生理が始まり
21歳 体が伸びきり
28歳 女性のピーク
35歳 小ジワが増え 現代と合っている。衰退の転機が更年期。
42歳 白髪が出て 悪いことばかりではない。生殖機能からの解放。
49歳 閉経 妊娠しない、生理がないので楽。期待していてよい。
活きのいい中高年女性を目指そう!
◎すべての女性にある三つの心
乙女心・・何か楽しいことはないかなという好奇心
母心・・小さな命を抱きしめて育てる心
産婆心・・誰かが何かを成し遂げるのを手伝う。女性特有のパワー。
<老年期>
老い=腎(泌尿生殖器全体を指す)
腎虚・陽虚・陰虚
精力減退、冷え、眠気
四物湯、六味丸、八味丸、牛車腎気丸
◎気楽に生きる養生法
ムリしない、病気をしない、なんでもひきうけない。義理を欠いても悪びれない。
4.漢方薬の副作用
薬には副作用が必ずある。
漢方薬はサプリメントではない。
西洋医学の薬が合わなくて使えない人でも、漢方薬なら使える場合がある。
西洋医学と漢方薬を両方使うことによって西洋医学の効果があがる場合もある。
統合医療とは・・
西洋医学と、東洋医学も含めたさまざまな代替医療(アロマセラピー、カラーセラピー、リフレクソロジー、
ヨガ、音楽療法など)のそれぞれの長所を組み合わせた医療のこと。
世界的な医療の目標が、病気をなくすことではなく、人生や生活の質をいかに良くして行くかに変わりつつある。
病気の予防、慢性疾患の日常的なケア、こころのケアに重点が置かれるようになってきた。
ホリスティック医学=自然治癒力をいやしの原点とする。
病気は人生においてのメッセージである。
(文責 丸山)
「受講後の感想」
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